M&A取引を成立させるためには、必ず買手による「デューデリジェンス」という買収前監査が行われます。このデューデリジェンスは通常、弁護士や会計士などの専門家によって行われ、財務書類や議事録・契約書などの書類関係の調査を主軸として、最低でも財務・法律の面などで不正、不備がないかをチェックします。
これらの専門家は考えられるリスクを探し出すことが仕事ですので、どうしてもデューデリジェンスが売手企業の「アラ探し」となってしまう面があります。
繰り返しになりますが、デューデリジェンスは専門家があえて会社のアラを探す行為です。どれだけいい会社でも、まったく何も問題がないという可能性は低いでしょう。司法書士として多くの中小企業に関わってきたアドバイザーからしますと、特に中小企業では、法律の不知により悪気なく法律の定めを充たしていない場合も少なくありません。
また、デューデリジェンスはごく限られた時間で行われた結果に基づき評価されるものです。株主管理すらきちんとできていないとなればそもそも取引を行うことはできませんし、法律上必要とされる議事録・定款などの書類が全くない、契約書もきちんと残っていないではなんとなく売手に対する不安感が生じ、取引をためらわれる可能性が高まります。
上記のように、限られた時間の中で行われるデューデリジェンスでは客観的な事実から会社の価値が判断されるため、まずは自社を最低限このような「足切り」を受けないような見た目にすることが必要です。
意識して準備を適正に行うことにより、必ず企業価値の向上につながります。できる事をひとつひとつおこなっていきましょう。
また、これらの対応は急場しのぎではプロの目から見ればすぐに分かります。議事録や契約書の作成は原則後から行うことはできませんし、そもそも手続に一定の時間を要するものもあります。例えば株主が不明な会社などは5年以上適法な手続きを計画的に行わないといけません。
また、親族や従業員に承継する場合でも、企業価値を高めることは決して損になることではありませんし、コンプライアンス上の最低限の準備をしておいてあげることは経営者としての責任だと思います。M&A・事業承継を考えていない会社であっても、きちんとしたアドバイスにより今から準備を始めることが有用です。
当事務所では主に法務を中心に下記のような事項につきアドバイスを差し上げます。
税務会計・労務などについても他士業のネットワークによりアドバイスをさせていただきます。